大阪府枚方市で行われた、官民共創型の実証実験について取り上げます。 「ナイトコンシェルジュ」と名付けられたこのプロジェクトは、対象道路の電柱に青色蓄光標識の設置と、道路の側道に青色蓄光デザインシートを貼り付けて、電力供給等なしでの夜間の照明が確保できるか検証するものです。単に蓄光シートを貼り付けるだけでなく、そこに「エンターテイメント的アプローチ」を取り入れた全国初の取り組みで、「明るさ」と「楽しさ」の創出を目指しました。
日が暮れると暗くて危険な通学路の課題を解決したい
枚方市では毎年「まちづくり提案型事業」という名称で、民間からまちの課題解決のアイデアを募集しています。
学校の探究学習の中で生まれたアイデアが寄せられることもあり、「逆プロポ」への応募も「中学生のアイデアを形にできるかもしれない」という思いからでした。
市立杉中学校の生徒さんから寄せられたアイデアの一つに「日が暮れると暗くて危険な通学路を明るくする」というものがありました。これは交通対策課の方でも課題として認識していた、市内の危険箇所についての意見でした。
株式会社humorousの「地域の交通課題をデザインやエンタメの視点を活用して解決する社会実験プロジェクト」の内容が枚方市が持つ課題感とマッチしたため、共創するに至りました。
暗い通学路を明るく、楽しく
2022年に文部科学省、国土交通省及び警察庁が連携し、全国の市町村立小学校の通学路について、教育委員会・学校、PTA、道路管理者、警察等による合同点検を実施したところ、全国で対策が必要な危険な通学路は76,404箇所、通学路に不安を感じる保護者の割合は88.6%にのぼることがわかっています。
今回の実証実験で対象となった道路は、夜になると真っ暗になり、過去には側溝にバイクや軽自動車が転落する事故も起きています。
そんな道路に対し、「ナイトコンシェルジュ(蓄光技術を活用して夜道に灯りの目印を付ける)」というアイデアはどのような成果をもたらしたのでしょうか?