4/20開催オンラインイベントレポート「ソーシャルビジネス支援の最前線 〜社会課題に取り組む起業家の今と支援のあり方〜」

4/20開催オンラインイベントレポート「ソーシャルビジネス支援の最前線 〜社会課題に取り組む起業家の今と支援のあり方〜」

掲載日: 2022-05-20

2022年4月20日、逆プロポ主催のオンラインイベント【ソーシャルビジネス支援の最前線 〜社会課題に取り組む起業家の今と支援のあり方〜】が開催されました。

今回のテーマは「ソーシャルビジネス支援の最前線」

登壇いただいたのは、株式会社日ノ樹社長室長、堀内統彦さんです。堀内さんは現在、ベンチャー企業や社会課題に取り組む起業家のハンズオン支援に取り組まれています。また、前職は第一勧業銀行、みずほ銀行にて中小・中堅企業向けの融資や営業、個人取引ビジネスの戦略企画・マーケティングなどにも携わってきました。

このように、大企業からベンチャーまであらゆる規模や形態のビジネスを金融面でサポートしてきた堀内さんから見て、ソーシャルビジネス支援の潮流はどのように映っているのでしょうか?この記事では、イベント内で話された内容を一部ご紹介します。

 

今回ご登壇いただいた方

株式会社日ノ樹社長室長 堀内統彦様

 

ソーシャルビジネスを前進させる3つの視点

 

社会課題の解決を目的とするソーシャルビジネス。その持続可能性を高めていくためには、3つの視点が重要だと堀内氏は言います。


①事業特性と資金特性のマッチング

堀内さん ソーシャルビジネスの支援をしていると、ベンチャーキャピタルのような、短期間で急成長を求められる資金調達方法にはマッチしないと感じるケースが多いです。ソーシャルビジネスは社会課題にフォーカスしていますから、長期的な事業計画のもと、経済的リターンのみならず社会的インパクトもアウトカムとして設定しています。このように、着実な成長でスケールしていく企業の場合、ESG投資やインパクト投資で資金調達をする方がフィットします。特に近年は、ゼブラ企業に対して支援をしようという考え方がかなり強まっている印象です。

 

 

資金の供給側と調達側の意図をどれだけマッチさせるかが、ソーシャルビジネス支援の重要要素となります。

 

  • 事業の目的や内容
  • 業種
  • 想定している社会的インパクト
  • 成長スピードと道筋
  • スケールの規模
  • 成長後の収益性の高さ
  • 出口(IPOを目指すかM&Aか、継続的に投資家にリターンを渡すか)

 

などの事業特性に資金供給側のスキーム(ファンド期間や回収方法など)を照らし合わせ、できるだけマッチさせるのがお互いの幸せのためになります。そして社会的インパクトも最大化できると考えます。

 

 

②イノベーション

堀内さん ソーシャルビジネスが大きな社会的インパクトを生み出すには、やはり事業の内容が重要になってきます。一筋縄ではいかない社会課題を解決するということですので、同じやり方を繰り返していてはなかなかうまくいきません。そこで必要になってくるのが「イノベーション」です。

違う特性を持つものどうしの新結合から生まれるのがイノベーションですから、官民連携はその一つの典型例です。

 

 

イノベーションを生み出す場としてよく挙げられる3つが、「フューチャーセンター」「イノベーションセンター」「リビングラボ」です。

フューチャーセンターにて、違う特性を持つものどうしが共に未来を見据え、仮説を立てる。そして、イノベーションセンターにてプロトタイプを作る。さらに、リビングラボにて、実際の生活の中で試す。これらのサイクルを回しながら事業をブラッシュアップし、インパクトを最大化していきます。

 

③社会的インパクトを生み出すためのプロセス

堀内さん 社会的インパクトを実現するためにイノベーションを起こしていくわけですが、異なるセクターからプレーヤーが集まって取り組みますから、共通の目的やアジェンダが必要になってきます。

我々は何をするのか、何をしなければならないのかという認識を一つにして、それを測る評価システムを設計し、実際の活動に落とし込みます。また、その活動に伴う継続的なコミュニケーションも設計する必要があります。それから、運営をサポートする事務局のような組織体があることも重要です。

 

 

ソーシャルビジネス支援の現場では、このように、皆で集まって何を実現するのか(=コレクティブ・インパクト)、その道筋はどうなのかを可視化するロジックモデルを作成し、進めていくケースが多いです。

 

コレクティブ・インパクトの全体図を描く

堀内さん ソーシャルビジネス支援の場においては、コレクティブ・インパクトの全体図を描くことが全てにつながります。何を目指すのか、自分たちの事業はどのようなものか、中長期のアウトカムは何か、どんな資金が必要か、など、ひとつひとつ棚卸しを行うことで、資金供給者にしっかり説明ができるようになります。結果的に、事業特性にマッチした資金を得られることにつながります。こういったことを、いつも社会起業家の方と考えながら検討しています。

 

後半ディスカッション:ソーシャルビジネス支援のリアル

イベント後半では、ソーシャルビジネス支援の現場で行われる判断や基準について、堀内さんに伺いました。

 

Q.堀内さんから見て、社会的インパクトが出せると感じる企業の特徴は何でしょうか?

我々が支援するのは比較的規模の小さなベンチャー企業やスタートアップです。まずは、代表の方やメンバーの方の想いを聞いて、そこから熱意や真摯さを感じられるかどうかが一番です。答えにならないかもしれませんが、結局は「人」です。

その熱意の結果として、どこまで考え抜いているかを見ます。ロジックモデルに筋が通っており、どのポイントを突けばどう事業が展開するのかシミュレーションもしている。なおかつ実現性があるものについては、社会的インパクトが出るだろうと判断します。

 

Q.一般的に資本政策は後戻りができません。スタートアップが成長していくフェーズにおいてソーシャルビジネスにピボットすることは可能でしょうか?

なかなか難しいところがあるかもしれません。例えば、ユニコーン型を目指す株主構成になっていた時に、それをやめてソーシャルビジネスにピボットするとしましょう。ピボットした結果、ソーシャルビジネスと言えども急成長してイグジットできるなら問題はないかもしれません。しかしそうでない場合は、難しいですが資本構成を変えるか、もしくは別事業として立ち上げるような対応になるかと思います。

 

Q.今は大企業も、社会課題にフォーカスした新規事業開発に盛んに着手しています。しかし利益的なインパクトがほとんど出ないことが多く、事業の意味自体を問われることもあると聞きます。このケースについてどう考えますか?

もしかしたら、「本業に関係がない」と解釈されているところがあるのかもしれません。これにはいくつかの考え方があると思っています。例えばSDGsの17項目で考えたときに、その企業にとってのマテリアリティ(重要課題)は何かと考え、それに対して本業や隣接領域で取り組もうという動きが最近ではよく見られます。IRの中でも非財務のレポートに記載する取り組みです。大企業におけるソーシャルビジネスについては、そう捉えるのが一つの考え方です。

他方、本業と全く関係のない事業の場合は、IRや広報の力を借りながら、企業のイメージアップやブランド力アップにつなげることを考え、取り組むことになると思います。

 

今後のイベントにもご期待ください!

2022年4月20日、逆プロポ主催のオンラインイベント【ソーシャルビジネス支援の最前線 〜社会課題に取り組む起業家の今と支援のあり方〜】の様子をレポートしました。

逆プロポ運営事務局主催のオンラインイベントは今後も続々予定されています。ぜひ次の内容にもご期待ください。

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