「逆」の仕組みで、自治体職員のアイデア活性化につながる期待
日野町

「逆」の仕組みで、自治体職員のアイデア活性化につながる期待
「逆」の仕組みで、自治体職員のアイデア活性化につながる期待
掲載日: 2021-09-17

自転車活用推進法および自転車活用推進計画に基づき、持続可能な地域社会づくりに向けて、安全・快適な自転車利用のための子ども向け教育プログラムを開発・実施


「逆公募プロポーザル(以下、逆プロポ)」はスタートして間もないサービスです。

自治体の方からしてみればチャレンジングな手法だと思うのですが、エントリーした理由は何だったのですか?

日野町の場合はシンプルで、町長から副町長にトップダウンで「これをやります」と伝えられました。

もともと今回の公募テーマの「より安全な交通環境・社会の実現」に沿う事業を町で実施しようとしていたのが大きな理由です。

町民の方々に自転車の安全な走行を伝える教室と、サイクリングイベントを企画しており、予算組みもしていました。

そんなタイミングで逆プロポの話を知り、これを使って新しい予算が得られれば「幼児向けの自転車教室」ができると考えました。

日野町には、小学1年生から自転車に乗らないと通学できない地域があります。なので幼稚園や保育園の頃から練習しないといけません。その切迫感に対して行政がサポートができないかということで、自転車を軸にあらゆる世代に価値を提供できるよう事業を全体的に再構築しました。


逆プロポで企業から自治体に寄付されるお金は、雑収入として扱えるように設計しています。庁内調整の手間を省く意図があるのですが、この点に関してはどう感じましたか?

自治体の場合、歳入と歳出は全く別世界です。基本的に「何にいくら使うのか?」の出る方のみを見ていくので、どれだけ歳入があっても自由に事業ができない側面があります。議会を通さないといけませんので。

雑収入は自由度が高いお金ですから、「こんな取り組みをしてみたかった」というアイデアを持つ一人の担当者としては助かります。ですからその後、アイデアをどう魅せるか?にかかっていると思います。

今回の日野町の場合は、当初予算の補正を組もうとしているタイミングで議会に提案しました。「100万円の事業を寄付金をいただいたのでおこないます」と。


つまり、逆プロポは自治体の方々のクリエイティビティが問われる仕組みだということですね?

想像力とやるぞ!という想いがあれば、実現する可能性の高い仕組みだと思います。

今までの財政構成に傷を付けずに新しいことにチャレンジできるのは善です。通常の歳入以外にお金が入ってくるなら自治体にとっては良い話です。

しかも通常とは逆で、こちらの政策提案を民間の方に見ていただいて、アイデアが良かったら寄付金がいただけるという話ですよね。これまでそのような機会はありませんでしたから、職員のアイデア活性化にもつながると思います。

活用すると、民間企業で言う社内コンペのような、各課からアイデアが出る風土が根付くかもしれませんね。


民間と行政がそれぞれの得意を掛け合わせて社会に価値を出すようになれば、三方良しになります。ゆくゆくは「●●人の町民が価値を感じましたよ」のように、アウトカムが定量化できればと考えています。

それは行政評価の部分でも可能性が広がりますね。行政はエビデンスよりも経験と勘で動いているケースも珍しくないので、一定のパフォーマンス評価の指標は必要だと思います。

最終的なアウトカムや報告の部分まで目標設定すれば、適正な評価がされるようになるのではないでしょうか?本来は、そうあるべきですから。


日野町長 堀江和博氏コメント

この度は、当町が提案しました施策をご採択いただき、心より感謝申し上げます。ご存じの通り、公共的課題は複雑化・多様化しており、課題解決のためには行政のみならず民間企業やNPOなどとの共創関係が非常に重要です。そういった中で、官が民に発注するという従来のあり方を覆し、逆転の発想から生まれた「逆プロポ」というチャレンジングな手法に注目し、町として応募をさせていただきました。

当事業は、行政にとって民間資金を活用する点からも魅力的な仕組みですが、それのみならず「民間視点による政策評価」という観点からも可能性を感じています。通常、行政施策は庁内協議の後に予算化され、最終的に議会審議を経て執行されますが、この仕組みを用いると、民間企業によってその施策が審査され、それを通過したものだけが執行されることになります。

この仕組みが発展すれば、自治体間において真の意味での政策立案競争が行われる契機となりえます。限られた予算の中で効果的な政策・施策を実施していくためには、政策形成プロセスにおいて民間企業の視点が入ることは非常に有益です。今後の展開に期待をしています。今回のご寄附を大切に活用させていただき、効果的な施策が実施できるよう取り組んでまいります。

日野町副町長 津田誠司氏コメント

今回の逆公募プロポーザルというしくみは、チャレンジしたい自治体にとって大きな励みになる制度と思います。資金面もそうですが、何よりもチャレンジの方向性に共感いただけるということが、新たなステップを踏み出す際の大きな原動力になると思います。この制度が継続し、チャレンジ精神旺盛な自治体を応援する制度として定着していくことを期待しております。

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