5/25開催オンラインイベントレポート「メルカリで始めた社会課題解決の取り組み」

5/25開催オンラインイベントレポート「メルカリで始めた社会課題解決の取り組み」

掲載日: 2022-06-25

2022年5月25日、逆プロポ主催のオンラインイベント【メルカリで始めた社会課題解決の取り組み】が開催されました。

今回のテーマは「パーパス経営とパブリックアフェアーズ」

登壇いただいた高橋亮平さんは現在、株式会社メルカリの会長室政策企画参事などを務めていますが、過去に地方議員や行政職員の経験を持ちます。ビジネスの最大化を官民両方の視点から捉えることができる人物です。

 

昨今、ビジネスにはますます公共性が求められ、自社の存在意義や社会に与える価値を示すパーパス経営の考え方が広がりつつあります。

いざ、ひとつの企業が社会の公器へ変化しようとするとき、そこにはルールメイキングを含むどのような働きかけが行われているのでしょうか?

メルカリにて行ったパブリックアフェアーズの事例などを、高橋さんにお話しいただきました。この記事では、イベント内で話された内容を一部ご紹介します。

 

今回ご登壇いただいた方

一般社団法人 日本政治教育センター理事長/メルカリ 会長室政策企画参事 高橋亮平様

 

ビジネス側からルールメイキングを

まずはじめに、高橋さんがメルカリでパブリックアフェアーズに取り組む動機ともなった、元々の問題意識をお話しいただきました。

高橋さん 規制緩和や制度構築のように、ルールメイキングから関わりながらビジネスを展開したほうが社会的なインパクトが最大化すると思っています。

政府や役所、シンクタンクで成長戦略などを作成しても必ずしもそのようには成長しないことも多く、選挙時の公約などにおいては、実施したい政策に辻褄を合わせるように名目成長率を記載することもあります。

実質的に日本経済をもっと成長させていくためには、ルールメイキングに国会議員や官僚のみならず、経済の当事者である企業、さらに言えばベンチャーなどがもっと積極的に携わる必要があると考えています。

 

メルカリのパブリックアフェアーズ

高橋さんがメルカリで行った取り組みは多岐にわたりますが、その一部をご紹介します。「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」をコーポレートミッションとするメルカリが、CtoCの事業ドメインから、文字通り社会全体に価値を生み出す企業に変容していく様子がよく理解できるでしょう。

 

企業内に政策企画チームの立ち上げ

社内外の幅広いステークホルダー(公的機関・民間)と信頼関係を構築するための専門チームが立ち上がり、各界のキーマンとのリレーションを深める。

 

経団連入会

ベンチャー企業では珍しく経団連に入会。「スタートアップから政策要望を吸い上げ経団連の政策委員会へと伝達・反映すること」と、「経団連の政策委員会からの求めに応じてスタートアップとしての意見を議論・答申すること」を役割とする「スタートアップ政策タスクフォース」などが創設されそこに参加。

 

政策企画ブログ「merpoli(メルポリ)」の運用

政策分野について民間企業がメッセージを発信することをメジャーにし、ルールメイキングに関わりやすい環境を作るため、政策企画ブログ「merpoli(メルポリ)」の運用を開始。規制や課題、メルカリが解決しようとしている社会課題解決などの情報を発信。

【メルカリグループの政策企画ブログ merpoli】

https://merpoli.mercari.com/

 

DX先進企業として自治体職員の受け入れ・研修

経産省や複数の自治体から職員を受け入れ、リモートワークをはじめとしたメルカリの多様な働き方を体験してもらう研修を実施。DXの即戦力として活躍するためのスキームも構築。

 

「メルカリ寄付」の仕組み構築

メルカリ利用者がものを売ることで得た売り上げ(メルペイ)の一部を自治体や慈善団体に寄付できる仕組みを構築。2022年7月現在、寄付先として23自治体を含む96団体が参画。

 

自治体の「メルカリShops」活用による地域のEC化

統廃合で不要になった学校の備品をメルカリで販売。これまで廃棄するしかなかった不用品のリユースで、環境と自治体財政の両面で良い影響をもたらす。メルカリを使って地域商店の品や特産物、伝統工芸品などの販売も行っている。

 

高橋さん メルカリは、創業者の山田進太郎が世界一周の旅で目の当たりにしたモノが溢れている地域と、とても不足している地域があり、「本当に必要としている人たちにモノを届けられるともっと社会が良くなるのではないか」という発想が原点になっています。

このように「社会にとって意味のあることをしていきたい」とする想いが強い企業ですので、公民連携をはじめ、パブリックアフェアーズで多方面のステークホルダーと信頼関係を構築することはとても意義のあることだと思っています。

メルカリを社会の公器にしていくためには、ビジネスとして使えるだけではなく、より社会的な価値を高めていく活動が必要です。普段メルカリのようなインターネットサービスを利用しない方たちにも使っていただけるようなサービスにするため、公民連携なども非常に重要だと位置付けています。

 

質疑応答:民間と自治体がWin-Winの関係で社会課題解決をするには

パブリックアフェアーズの取り組み事例が次々と紹介され、驚きと感心に包まれたイベント前半。後半からは、官民両方の視点を持つ高橋さんに、民間と自治体の共創のポイントについて質問しました。

 

Q.自治体と連携して実施した取り組みでは、自治体予算は使っていないのですか?

基本的に自治体の予算は使わない「ゼロ予算事業」を提案しています。これは私が自治体職員だったときに感じていたことですが、民間企業から「社会的に良いことをやりましょう」と提案されたとしても、自治体の予算を使うことが前提であれば、結局”営業”だと捉えてしまいます。ことの本質は、民間と自治体がWin-Winの関係を保ちながら一緒に社会課題を解決することですから、個人的にゼロ予算事業にはこだわっています。

 

Q.自治体に事業を提案する際、どういった説明で理解してもらうのでしょうか?

企業側がやりたいことをそのまま伝えても、ほとんどの自治体は受け入れてくれません。では反対に、自治体職員の方が興味を持って話を聞くパターンはというと、個人的には1つしかないと思っています。それは、「現場で起きているお困りごとの解決につながる」という説明をすることです。

例えば先ほど「地域のEC化」の事例を挙げましたが、現在、コロナ禍でインバウンドがなくなり、地方経済が疲弊していることは全国共通の課題です。これを構造から変えて解決せねばならないとの危機感は自治体職員の中にあると思うのですが、具体的にどんな打ち手があるのかがわからない状況なのです。

そこで、メルカリが「地域のEC化」の提案をすることで、解決策のひとつになるかもしれないというふうに可能性を感じてくださったのではないかと思っています。

このように、自治体職員の目線に立って、その方たちが今取り組んでいることがより良くなる提案をすることが理解を促すポイントです。

 

Q.自治体と連携することに対して、企業内部での理解促進も重要だと思いますが、それに関してどのような工夫を行っていますか?

ビジネス部門には、公民連携の意義を理解していただけないこともやはりあります。ただしメルカリの場合は、既存のビジネススキームを工夫して自治体提供をしているので、新規開発コストなどはほとんどありません。そういう意味ではビジネス部門のデメリットはないと言えます。

その他では、パーセプションチェンジの必要性をよく説明しています。メルカリのようなベンチャー企業は社会的な信頼性が薄いという場面もあります。しかし、社会的に良いことをしている会社ですから、公の機関とつながりを持って実際に価値を提供していくことで、社会的に信頼のおける企業だと認識されるようになります。その活動の一環であるということを頻繁に説明しています。

 

今後のイベントにもご期待ください!

2022年5月25日、逆プロポ主催のオンラインイベント【メルカリで始めた社会課題解決の取り組み】の様子をレポートしました。

逆プロポ運営事務局主催のオンラインイベントは今後も続々予定されています。ぜひ次の内容にもご期待ください。

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