3/25開催オンラインイベントレポート『現場の公務員に聞く官民共創のリアルvol.2』

3/25開催オンラインイベントレポート『現場の公務員に聞く官民共創のリアルvol.2』

掲載日: 2022-04-15

2022年3月25日、逆プロポ主催のオンラインイベント【現場の公務員に聞く官民共創のリアルvol.2】が開催されました。

今回のテーマは「研究から見えた、官民共創の『成功の法則』」

北九州市の職員でありながら、北九州市立大学大学院で官民共創の研究をおこなう堀江吏将さんに登壇いただき、携わる方なら誰でも気になる「官民共創の成功要因」について、自身の研究成果を詳しくお話いただきました。

この記事では、イベントの様子を一部ご紹介します。

 

今回ご登壇いただいた方

北九州市 堀江吏将様(保健福祉局先進的介護システム推進室次長)

 

官民共創の研究を始めたきっかけ

堀江さん 私が官民共創の研究を始めたきっかけは、官と民で社会課題についての向き合い方が違うな、と感じたことでした。自治体職員として民間企業の方と話をする中、端々で「同じ言葉を使っているのに、どこか通じていないような気がする」と感じることがよくありました。

例えば「価値」という言葉について、官民の双方の認識を言語化すると、概ねこのようになります。

 

民間企業の「価値」の意味▼

 

自治体の「価値」の意味▼

 

民間企業は、当然ながら”マーケット”や”経済循環”に重きを置いて「価値」という言葉を使っているのに対し、自治体が使う「価値」は”パブリック”と”ビジョン”に重きが置かれていることが多いです。

他にも、事業を推進していく上で「仕組み」と「人」のどちらを重視するかについても、民間企業と自治体で違いがあります。

自治体は数年ごとに職員の移動がある背景から、再現性の高さを担保する「仕組み」に重きを置く傾向が高いです。それに対して民間企業は「人」、つまり、リーダーなど事業のキーパーソンや人脈(ネットワーク)を重視する傾向があります。

このように、官と民ではそもそもの前提条件に違いがたくさんあるため、「同じ言葉を使っているのに、どこか通じていないような気がする」という現象が起きます。

 

官民共創を成功に導く7つのキーワード

堀江さん では、これらの違いをどう解決して官民共創を進めていくのか?これまでの私の経験と研究で浮かび上がってきた「官民共創の成功法則」とも言えるキーワードが「共創、信頼、共感、価値共有、熱意、誠意、他者受容」の7つです。

さらに研究では、これらのキーワードの因果関係を調べました。官民共創に興味を持つ公務員の方々に「それぞれのキーワードの重要性」についてアンケートを行い、統計解析した結果、次の図のような関係性があることがわかりました。

 

 

始まりは「他者受容」です。他者受容性が高い人は熱意も高く誠実さも高い、という結果になっていることがわかります。

図の左側の「他者受容」「熱意」「誠実さ」というものは”人”に結びつくものであると考えます。真ん中の「価値共有」「信頼性」「共感性」は、人にも結びつきますが、”組織”として重要な要素です。

これらが揃うことで、磐石な”チーム”が組成され、共創につながっていくのではないかと考えます。

つまり、すべての要素の起点となる「他者受容」が官民共創の『成功の法則』に欠かせないものと言えます。

 

「相手を受容し、熱く夢を語り誠実に行動する人たちがいる、そしてチーム内で価値を共有し、信頼、共感し合うことで人が動きやすいチームを創り上げる」

これが私の経験と研究から出た官民共創の『成功の法則』です。

平たく言えば「熱意は人を動かす」ということになりますが、この場合の熱意は「Passion(感情的な熱さ)」ではなく「Zeal(理想に対する貢献)」の方です。

熱意のある人が「動きやすい」組織を作ることが成功の鍵になると思っています。

 

後半ディスカッション:「他者受容」についての深堀り

オンラインイベント後半では、官民共創の成功法則の中心キーワードとなった「他者受容」について、さらに深堀りするディスカッションが行われました。

 

Q.「他者受容が高い人」とは具体的にどんな人でしょう?

堀江さん 私の感覚にはなりますが、例えば、10分間話す時間があった時に、5分以上相手の話を聞くことができる人です。同じ熱意のある人でも、自分の熱い思いをずっと語る人より、相手と会話のキャッチボールをすることに重きを置く人の方が他者受容性は高いと感じます。


Q.他者受容性が高い人がチーム内に多いと、プロジェクトの成功にも繋がりやすいのでしょうか?

堀江さん 概ねそうだと感じています。

他者受容性が高い人の周りには、熱意のある人や誠意のある人が集まってくることが起こりうるので、チームとして成功しやすいと感じています。また、他者受容性の高い人は人を育てることに長けている側面もあります。そういう方がチーム内に多いと、プロジェクトの成功にも繋がりやすくなるのではないかと考えています。


Q.他者受容と言っても、互いのルールがあったりして相手のことを完全に受け入れるのが難しいこともあると思います。その場合は、どう考えればよいのでしょうか?

堀江さん 「他者受容」と「他者を理解すること」は違うと思っています。「他者受容」とは、相手を理解することではなく、まずは「受け入れる」ことです。そういう文化や考え方なのだ、と、そのまま受け止める感覚です。腹落ち(理解)は、その後のプロセスです。

民間企業と自治体ではもともとの考え方や組織の構造が全く違うので、お互いを完全に理解することは難しいと思います。

他者受容とは、自分たちのルールを曲げてまで相手に合わせようとすることではありません。

少し感覚的な話になりますが、お互い相手の目指すゴールが共有できている(受け止めている)その上で、どの中間ゴールまでなら一緒に行けるか、あるいは、最終ゴールまで共に進めるのか。そういったことが互いに理解できている状態が他者受容なのではないかと思います。

 

今後のイベントにもご期待ください!

2022年3月25日、逆プロポ主催のオンラインイベント【現場の公務員に聞く官民共創のリアルvol.2】の様子をレポートしました。

逆プロポ運営事務局主催のオンラインイベントは今後も続々予定されています。ぜひ次の内容にもご期待ください。

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