民間企業とアイデアソンから始められる、共創関係の新たな作り方

神戸市
神戸市企画調整局つなぐ担当部長:藤岡健氏
同つなぐラボ担当係長:山下翔氏

従来の公募プロポーザルの仕組みを逆にして、企業が関心のある社会課題を提示し、それに対して自治体が課題解決のための企画やアイデアを提案するのが「逆公募プロポーザル(以下、逆プロポ)」です。まずは率直に、この仕組みに対する感想をお聞かせ願えますか?

非常にユニークで良い取り組みだと思います。

最近はSDGsやコロナ渦の背景もあり、民間企業からのアプローチが積極的になっていると感じています。そこで「こんな事業をしませんか?」と提案をいただくことがありますが、すでに枠組みが出来上がっているものは自治体として連携が難しい側面があります。あくまでも企業側の事業を実施するという形になりますので。

逆プロポの場合は公募であるため、オープンでフェアというところが良いと思いました。お金だけのつながりではない、もっと上流のアイデアソンのところから共創関係が築けるのではないかと感じました。


今回、逆プロポにエントリーした理由を教えてください。

神戸市としては、これからもっと民間企業との共創事例を増やしていきたいという想いがあり、ニュースリリースなどを見て他の公民共創の事例を勉強していました。
その流れで逆プロポの情報が入ってきまして、どんな仕組みなのか関心を持ったのがきっかけです。
ちょうど公募のテーマとして挙げられていた「より安全な交通環境・社会の実現」にマッチする社会課題を市として認識していました。一足飛びに抜本的な解決を実現することは難しいものの、課題解決に向けた機運の醸成や、地元高校生の人材育成といった別の視点を加味した実験的な取り組みが出来ないかの検討は進めていました。そこに逆プロポの仕組みが後押しとなり、どのような展開になるか試してみようということでエントリーに至りました。


自治体の方が企画やアイデアを出す従来とは逆パターンの仕組みですが、エントリーするときに大変だった点はありますか?

事務的な手続きについてはかなり簡素化されていましたので、とくにハードルは感じませんでした。実務担当者としてはありがたかったです。反対に「こんな簡単な様式でいいんだろうか?」と思い、添付資料を付けました。それくらいエントリーは簡単でした。

今回提案した企画は、市民も行政も解決の必要性を共通認識として持っていたものです。

そのため庁内調整という点においては、必ずしも一枚岩ではないものの「まずはやってみよう」というコンセンサスは取れました。


もともとやろうとしていたことに、意味づけが加わった感じですよね。庁内での反応はいかがですか?

今回提案した社会課題の解決に向けては、観光、交通、道路など複数の所管部署が関係します。それぞれに役割・立場があるので必ずしも一枚岩ではないものの、行政も解決の必要性を共通認識として持っていたものです。新たな公民連携・共創という枠組みで、「まずはやってみよう」というコンセンサスのもと、つなぐラボが中心になって実験的に取り組んでいくことにしました。庁内外の関係者とも情報共有しながら、どのように進めていくかを検討しています。事業が本格的に走り出すときに、広く市民に情報発信する予定です。


もしかすると逆プロポは、自治体の人材育成にもつながるのではないかと考えているのですが。

公共サービスが行政の専売では立ちゆかなくなってきていて、市民や民間企業などともに地域課題を解決していくしかない。しかし、企業との距離感をどのように詰めていけばいいのか分からない。このような悩みはどの自治体も持っていて、税金を使う立場から企業への不安感は強いと思います。そんな中、双方で一緒に何かを創っていこうとなった場合、オープンで透明な形でおこなう方が自治体としては安心です。神戸市では他にも民間企業の支援で事業を行うことはありますが、支援結果は同じでも、逆プロポのようなプロセスで実現していくということ自体に価値や意味を感じています。オープンに共創関係を創る仕組みなので、自治体もチャレンジしやすく、人材育成にもつながっていくのではないでしょうか。

神戸市 企画調整局 つなぐラボ 担当部長 藤岡健氏コメント

共創による社会課題解決の新しいモデルである「共創をデザインする逆公募型プロポーザル」にて最終選定いただきましたこと、誠にありがとうございます。住民が解決して欲しい地域課題や社会課題を設定し、その解決手法を公民共創によって考え、優れた提案の実践に向けた資金提供を共感する企業群が実施する「逆公募型プロポーザル」のアイデアは非常にユニークだと思います。従来の、どちらかと言えば、事業やプロジェクト先行型の公民連携とは全く異なる、新しいアプローチであり、今回、神戸市がこのアプローチに参加できることを大変光栄に感じております。

神戸市では、企業や大学など多様な民間セクターの皆さんとの共創による様々なプロジェクトを通じて、多様化していく地域課題を解決する共に新しい価値を創出する政策づくりに取り組んでおり、今回の選定が神戸市の新しい共創のアプローチとなるものと期待しております。

日本三大夜景の一つにも数えられ、手をのばせば星をすくうことができるような美しい星空を楽しめる場所として名付けられた六甲山・摩耶山の「掬星台」です。関西屈指の夜景スポットとして非常に人気のスポットですが、近年、駐車場待ちによる渋滞や路上駐車に悩まされており、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、屋外空間での余暇を求める来訪者の増加により課題が顕在化している状況です。

この課題解決に向け、このたび、地域のIT企業や教育機関などと連携し、AIカメラなどのテクノロジーを活用しながら、アクティブ・ラーニングによるデジタル技術の習得と混雑状況の可視化・情報発信を行う人材育成と地域課題解決に向けた取り組みを一気通貫で行う実証実験を提案させて頂きました。スマートシティの一環ともなる、この提案の実践の中で渋滞傾向のデータ分析などの成果を市民のQOLや利便性の向上につなげていけるよう取り組んでまいります。

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神戸市企画調整局つなぐ担当部長 藤岡健様神戸市企画調整局つなぐラボ担当係長 山下翔様

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夜景で有名な摩耶山掬星台の交通混雑状況を可視化し情報発信によって市民の行動変容シミュレーションを実施。それらを地元高校生によるアクティブ・ラーニングによるデジタル技術で解決。

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