官民共創インタビュー【自治体編】枚方市×ワイヤレスゲート 子ども食堂DXプロジェクト

枚方市

逆プロポ第2弾プロジェクト『枚方市×ワイヤレスゲート 子ども食堂DX』に携わった枚方市の職員の皆様に、本プロジェクトの手触り感を伺いました。

 

『枚方市×ワイヤレスゲート 子ども食堂DX』の概要

枚方市が持ち寄ったもの 枚方市として捉える子ども食堂の課題と解決に向けた行政目線でのアイデアを提供。市役所内のセクションに横串を刺して共創を実現。
ワイヤレスゲートが持ち寄ったもの 通信企業の強みを活かした、技術力やシステム開発力でアプリを開発。加えて、民間企業のネットワークや関係者の巻き込みなど、共感によって多くの仲間の参加を実現。他、プロジェクト運営費としての寄付金。
プロジェクトの概要 ワイヤレスゲートが『「本来あるべき理想の姿」と「現状」のギャップ(課題)』というテーマで公募し、それに対して枚方市は『子ども食堂に寄付の食材を届ける際の事務手続き』という課題を挙げた。そこからアイデアソンを行い、ワイヤレスゲートは食材寄付者と子ども食堂のマッチングをシステム化。NPO法人や地元のタクシー会社も参画する実証実験を展開した。
実施期間 2021年7月〜2022年3月
担当課 枚方市子どもの育ち見守りセンター/枚方市総合政策部 企画政策室

本プロジェクトの進め方については、こちらの記事をご覧ください
https://gyaku-propo.com/casestudy/220306/

 

アイデアソンから具体的なカタチへ

 

今回の、子ども食堂と食材寄付のマッチングをDX化するプロジェクトは、ワイヤレス ゲートが『「本来あるべき理想の姿」と「現状」のギャップ(課題)』というテーマで公募 をし、枚方市の皆さまが手を挙げて形になったプロジェクトです。
自治体と企業のアイデアソンから始まった本件ですが、その過程を体験してみて率直にどう思われましたか?

 
 

私たちの実情や、どんな課題をクリアしたいのかという部分を最初に聞いていただいたのが良かったと思います。私たちの方からはワイヤレスゲートさんに、子ども食堂に寄付の食材を届ける際の事務手続きについて課題があるとご相談させていただきました。

枚方市ではこれまで、食材寄付者と子ども食堂のマッチング業務を、市の職員が介在して電話やメールなどで行っていました。そんな中、マッチング後に配送手段がなく、食材の授受ができなかったケースもありました。このような課題をいかにシステマチックにできるかというところからアイデアソンが始まりました。

システムが出来上がっていく様子を見たときに、これは市の職員が自力で仕様書を書いていてはできないものだろうと思いました。アイデアソンを経てワイヤレスゲートさんの知見やノウハウをお借りできたことは、やりたいことが叶えられる精度の高い システムの構築につながったと思います。

 
 

それから、市の直接の財政負担がない座組みで実証実験を実施できましたので、未知のものにチャレンジするハードルもそれほど高くはありませんでした。

市の予算を使うとなると、なぜこれをやるのか?どういう仕様なのか?と細かい話を詰めなければなりませんが、今回はそれがなかった分、私たちも自由な意見をお伝えできたように思います。

全体を通して、具体的な形を実際に見ることができたのは、とても大きな成果だと感じます。

 

 

行政の「枠」を超えた提案

枚方市こども食堂DX

※今回の実証実験の全体像(出典:枚方市)

 

企業に対して自由な意見を言える、というのは、最初からでしたか?それとも、対話を重ねていってそうなったのですか?

 
 

私たちが課題をご相談すると、ワイヤレスゲートさんからは具体的なご提案がどんどん出てきました。「こんなことを考えたのですが、行政の方の目から見てどうですか?」という問いかけです。中には予想外のご提案もあり驚きもしましたが、行政側として許容できること、譲れないことなどをプロジェクト当初からお伝えはしました。

 
 

官民共創はさじ加減が難しいところがあります。企業からの提案が強すぎると、意見の出し合いではなく「この事業を実行したい」という話になってしまいがちですから。

 
 

こちらの伝えたいことは十分お伝えできたと思います。ただ、これまで行政が担っていた仕事を民間の方に実施していただくとなると、そのご提案にこちらがどこまで乗っていいものなのか?初めての経験だったので頭を悩ませたことはありました。

 
 

私たちだけでは考えつかないような仕様やスキームをまずは提案いただいて、それに対して行政がどこまでできるのかを考えながら、ある種実験のような形で取り組んできたところがあります。

 
 

今までは、民間側からどんどん提案が上がってくることがなかったということですか?

 
 

「枠」の中ではありました。課題があって、それを解決するために予算を獲得して仕様書を作って、その仕様書に沿う形で提案いただくという従来の枠組みです。

今回のプロジェクトは、その枠を超えていました。子ども食堂へ食材の輸送をするためにタクシー会社と連携したり、NPO法人や大学も巻き込んだりして、私自身思いもよらない展開でした。

例えば同じことを市の予算を使って実施するとなった際には、なぜタクシー会社と連携する必要があるのか?という議論になりますから。

 
 

今回のような珍しいスキームは、まずはやってみないことには良いも悪いも感触が分かりません。それを実証実験として取り組ませていただいたことは、行政としても良かったと思います。

 

 

机上の考えだけでは見えてこなかった課題

逆プロポ枚方市インタビュー

 

 

大企業の新規事業開発部署も同じような悩みを抱えています。アイデアソンはするけれど、結局ペーパー上で綺麗な絵を描くに止まるパターンです。アイデアの検証ができて、何が良かったのか、何が悪かったのか判断する場は必要ですよね。

 
 

そうですね。やはり机上の考えだけでは見えてこなかった部分もたくさんあります。例えば今回のプロジェクトで言うとタクシー会社との連携がそれに当たります。

これをいざ実証実験から予算化して実装に進むとなったときに、市民の方からお預かりした税金の使い道として公平なのかどうかなど、説明責任が伴います。かと言って、タクシー実装は絶対に無理だという結論でもありません。やってみてどうだったか?という効果検証をしているというような状況です。

 
 

その点逆プロポですと、企業から寄付金をいただいての実証実験でしたから、市予算の支出はありません。例えば今回の実証実験のタクシーの食材運搬に対して市民の方に「このプロジェクトには税金を使っているのか?」と問われても「企業からの寄付金でチャレンジしている」と説明できます。

 
 

何か新しいことにチャレンジする際に「失敗するな」と条件を出されると、しないほうが安全という回答に自然となりますよね。そういう傾向が自治体のみならず、日本全体にある気がしています。

 
 

試行錯誤をどこまでやっていけるのか、それが庁内にも議会にも理解してもらえるのかということは、日々意識しながら仕事をしています。

今回のプロジェクトは決して失敗ありきというわけではありませんが、いろいろなご提案やつながりから全体像が広がっていった様子はとても新鮮で、面白いと思いました。

もちろん、実現化するには民間企業の方には行政の事情も理解していただき、耳の痛いこともお伝えせねばならない場面があると思います。けれども、お互い分かり合いながら進めていけるのであれば良いと思います。

 

 

官民共創をしたからこその「広がり」

枚方市インタビュー

 

 

ちなみにこのプロジェクトを実施してきて、皆さんの中で何か感情が動いた場面はあるのですか?楽しいとか、やって良かったとか、あるいは困ったなど。

 
 

このプロジェクトを担当していた者としては、やはり実際にいろいろなものが形となって見えてきたときに、喜びと言いますか、驚きに近い感覚がありました。

時間の制約がある中で、システム開発の方にはできる限り最大限のものを作ってい ただきましたし、私たちとワイヤレスゲートさんだけではなく、他の団体や企業も参画して全体を成せたことは想像以上でした。

 
 

行政だけでは絶対に作れないつながりを作っていただき、その関係性の中でより良いものができていく様を見ることができました。

庁内や議会でも「多くのつながりができているのはすごいことだが、事業の全容が分かりづらい」「話が広がりすぎている」とご指摘を受けることもありましたが、「面白い、やってみてダメだったらやらなければいい、ぜひチャレンジを!」とのお声もいただきました。

私たち行政の中で、官民共創に対する概念にはばらつきがあると思います。課題もまだまだたくさんあることは事実ですが、それでも新しいことに取り組んでいくと、今までにない広がり方をするので面白いと思います。

 
 

民間企業と行政のスピード感や考えていることは違いますから、それを今回逆プロポの事務局の方に間に入っていただいて、コーディネートしていただいたのはありがたかったですね。

ワイヤレスゲートさんもこちらの事情を踏まえていろいろ一緒に考えていただいたので、文字通りアイデアソンから形を作ることができたプロジェクトだったと思います。

 
 

本日は貴重なお話をどうもありがとうございました!

 

 

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枚方市

枚方市

子ども食堂に寄付の食材を届ける際の事務手続きをDX化したプロジェクト。食材寄付者と子ども食堂のマッチングをシステム化し、NPO法人や地元のタクシー会社も参画する実証実験を展開。

寄付金額

60万円

採択された自治体:枚方市

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