官民共創インタビュー【自治体編】北九州市×ドクターメイト 民間サービスを活用した介護施設の夜間オンコール対応

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逆プロポ第3弾プロジェクト『北九州市×ドクターメイト株式会社 民間サービスを活用した介護施設の夜間オンコール対応』に携わった、北九州市保健福祉局先進的介護システム推進室 堀江次長と吉村係長に、本プロジェクトの手触り感を伺いました。

 

『北九州市×ドクターメイト 民間サービスを活用した介護施設の夜間オンコール対応』の概要

北九州市が持ち寄ったもの 現課が持っていた解像度の高い課題と、消防局・医師会など組織を横断した連絡調整。実証実験に参加する高齢者施設の声を拾い上げ、ドクターメイトにフィードバック。
ドクターメイトが持ち寄ったもの 自社サービス「夜間オンコールサービス」の無償提供。市や施設の担当者の状況に合わせた柔軟な対応や情報共有。
プロジェクトの概要 医師が常駐しない高齢者施設において、現場スタッフの夜間緊急対応の負荷を軽減する目的のプロジェクト。ドクターメイトの「夜間オンコール代行サービス」を特別養護老人ホームに導入し、実証実験を元に「適切な夜間救急搬送モデル」を官民共創で確立していく。
実施期間 2021年11月〜2022年9月終了予定
担当部局 保健福祉局先進的介護システム推進室

本プロジェクトの進め方については、こちらの記事をご覧ください
https://gyaku-propo.com/casestudy/20220328/

 

各方面への調整を経て

 

今回のプロジェクトでは、消防局や医師会など組織を横断する調整が必要な場面がたくさんあったと思います。そのあたりどのように進められたのか、教えていただけますか?

 
 

消防局とは以前からつながりがありましたから、逆プロポにエントリーするタイミングで概要をお話した記憶があります。医師会に関しては役所の外の組織なので、エントリー後に説明をし理解していただきました。

 
 

今回のプロジェクトは、ドクターメイト社の「夜間オンコール対応代行サービス」を北九州市の特別養護老人ホーム17箇所に導入し、「適切な夜間救急搬送モデル」を実証実験を通じて確立していくものです。

従来、高齢者施設からの夜間オンコール対応は医師会が担っているとのことですが、それがドクターメイト社のサービスに一時的に置き換わることについて、医師会側にはどのような説明をしたのですか?

 
 

今回の実証実験で得られたデータに価値が出るのではないか?とお伝えしました。北九州市では、市民の方が受けた医療・介護・健診の情報の一部をネットワークを通じて医療機関等で共有する、医療介護連携を進めています。ここに今回の実証実験のデータが加わることで、より精度の高い分析ができるようになるとお伝えしました。

 

 

原課から逆プロポにエントリーした理由

 

本プロジェクトの公募で私が印象的だったのは、「保健福祉局先進的介護システム推進室」という現場の部署からエントリーがあったことです。

官民共創は多くの場合、自治体の企画部門が旗振り役になります。そこが原課と調整をしながら進めていき、時には原課との熱量のギャップに悩まされたりすることもあります。北九州市は珍しいケースだと思うのですが、庁内調整のやり方に何かポイントがあるのですか?

 
 

当室の事業は地方創生推進交付金を活用して行っています。そのため、企画部門と原課の間に比較的太いつながりがあるのではないかと思っています。

今回ドクターメイト社が逆プロポで公募した『「適切な夜間救急搬送モデル」を実現するために、地方自治体・病院・介護施設の3者で新しい仕組みづくりに挑戦したい。』というテーマは、まさに私たち原課が抱えている課題にぴったり当てはまっていました。ですから、すぐにエントリーしました。

一般的に、自治体の企画部門は大きな絵は描けるものの、課題の解像度は原課よりも高くないと思います。両者が日頃からコミュニケーションを行うことで、ギャップは埋められていくのではないでしょうか。

 

 

実証実験開始1ヶ月後の手応え

プロジェクトの概要図(出典:北九州市)

 

現在(2022年3月時点)は、ドクターメイト社と実証実験を進めている最中とのことですが、具体的にどのようなやりとりが交わされているのですか?

 
 

ドクターメイトの方には、とても丁寧にフォローしていただいていると感じています。先日、ちょうど実証実験から1ヶ月経った頃に中間報告をいただきました。これまでの夜間オンコール代行の利用件数や、その内訳(利用に至った理由)、実際に搬送に至った件数などを共有していただきました。

これまで合計で12件の利用がありましたが、その内搬送されたのは1件です。残りの11件は、夜間オンコール代行サービスの対応で解決しています。

 
 

実証実験に協力する高齢者施設からの感想もポジティブです。「あって助かった」「相談するのにハードルが低くて良かった」「経過観察の件に対して継続的にフォローをしてくれた」などの意見をいただいています。サービスの質の高さを感じています。

 
 

高齢者施設にサービスの導入を説明する際も、ドクターメイトの方に、各施設一対一でZoomを使った導入研修をしていただきました。

 
 

実証実験を進める中で、ドクターメイト社から施設に新しいアイデアを提案したい場合は、アイディアの大小にかかわらず事前相談があります。また、実際に施設に提案するときには、うちの部署にCCで情報が共有される仕組みになっています。逆の場合も同様で、スムーズな情報共有ができています。

 
 

その他にも、実際に着手してからの気づきはありましたか?

 
 

「業務に隙間ができない」のが良い気づきです。具体的には「利用者アンケート」がそれに当たります。

当初私たち自治体側は、実証実験に参加している施設の責任者に対してアンケートを行う予定でした。それに対してドクターメイトの方からは、「夜勤職員とオンコール対応のスタッフからもアンケートを取っては?」とご提案いただき、こちらの用意した雛形をもとに別のアンケートを作成していただきました。

互いに「うちの仕事はここからここまで」と線引きし、その間にある業務が手付かずになるケースはよくありますが、今回のプロジェクトではその逆です。

 
 

それは逆プロポの仕組みだからでしょうか?一般的な入札や公募だと、こうはなりづらいですか?

 
 

予算がついて要件も定義されていれば、基本的にそれ以外のことはできませんよね。

今回のプロジェクトはドクターメイト社が北九州市にサービスの無償提供をしてくださっていますが、金銭の授受は発生していません。ですから何をどの程度行うか?については、お互い協力しながら都度決めていくようなスタイルです。

先ほどお話したアンケートも、最初は「アンケートを取りましょう」という粒度でしか決めていませんでした。

 
 

一言で表すと「今風」の組み方ですよね。スタート時に全て決めておかねばならないとなると、その分着手が遅れたり、後から「これもやりたかった」と悔やんだりすることもあるでしょう。

一方で、スタート時はある程度の曖昧さをお互い許容しつつも、時が来たらそのタイミングで対話して具体化に落とし込むスタイルは、互いの得意分野や視点をうまく活かせるような気がします。

 
 

今回の場合は金銭の授受が発生していないので、年度に縛られることもありません。2月に実証実験を行うことは、自治体からすると通常は考えられないことです。

ただ、もう一つの気づきとしては、サービスを実装するまでの期間に余裕を持つ必要があるということです。せっかく最初に「共創」を約束するのであれば、お互いに何ができるかを模索する時間がもう少しあってもよかったと思います。

 

 

役場内では得難い経験

 

 

逆プロポを利用された他の自治体の方が「キャッシュアウトがない分新しい挑戦がしやすい」「新しい挑戦をしたことで、職員の方々の目線が上がった」とおっしゃっていました。そういった感覚もありますか?

 
 

通常の役場の業務では経験できないようなことに取り組んでいますから、職員の目線は間違いなく上がっていると思います。それから、やはり低いハードルから挑戦できるというのもメリットです。

個人的には、ビジョンが同じ民間企業の方と対話することによって、自分の仕事がいわゆる「お役所仕事」でないと感じられたことは大きいです。発想は違うけれども、同じビジョンを見ている人たちが外の世界にいると実感できることは、役所の中では得難い経験だと思います。

 
 

今回のプロジェクト終了後は、どんな流れを考えているのですか?

 
 

プロジェクト終了に伴い、形式上、ドクターメイト社との契約も終了します。一旦市との関係は離れますが、実証実験に協力している高齢者施設には「良いものだと感じれば有料契約もできる」と選択肢を用意する予定です。

また、今回のプロジェクトを通じてドクターメイト社とは信頼関係が築けていますので、こういった場で感想を述べたりすることで、サービスの認知に貢献できればと考えています。

 
 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

 

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医師が常駐しない高齢者施設において、現場スタッフの夜間緊急対応の負荷を軽減する目的のプロジェクト。ドクターメイトの「夜間オンコール代行サービス」を特別養護老人ホームに導入し、実証実験を元に「適切な夜間救急搬送モデル」を官民共創で確立していく。
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